広報にしあわくら 2022年11月号より

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目次

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特集 自然を楽しむ

「楽しい」を伝える活動

西粟倉村内の山、植物、生き物を題材に、自然と触れ合うことの楽しさをあわくら会館イベントの村民講師企画を通じて伝えられている「ちぐさ研究室」の清水美波さん(株式会社百森)と川上えりかさん(西粟倉村役場)。まずは山や森林に興味を持ち、そして楽しさを知れるきっかけになればと毎回の活動内容を考えられています。

10月に行われた「どんぐりを食べよう!」の回では子どもから大人まで一緒になってどんぐりを割ってみたり、調理をして今までとは違うどんぐりの見方を伝えられていました。

今回はお2人に活動を始めたきっかけや、活動を通して伝えたいことなどお伺いしました。

「ちぐさ研究室」

清水美波さん(以下敬称略):毎月1回程度あわくら会館の村民講師企画として、二人で村内の山やあわくら会館を使って植物や山に関する活動を行っています。みなさんに参加してもらう企画とは別に、二人で独自に山に行って生えている木や植物を調査したり、土壌の虫を調べたりもしています。そして調べた情報や植物に関する事柄はSNSで発信しています。

「ちぐさ研究室」というユニット名の由来は、山や植物に関連して葉っぱの緑色にまつわる名前が付けたかったんです。色々と調べていたところ緑色の中でも「千草色」があると知り、植物のことをたくさん取り上げる活動にぴったりだと思い、名付けました。毎回の企画の考案から実際に行うところまで、一人では難しくてできなかったりすることも、二人だからできるし、活動を楽しく継続できていますね。

楽しさを知らないなんて もったいない!

川上えりかさん(以下敬称略):私は1年半前、協力隊として西粟倉村へ移住してきたのですが、清水も同時期に協力隊として移住してきていて同年代という繋がりで知り合いました。最初は、二人とも大学で山や植物に関する学科に所属していたので、授業でのフィールドワークが楽しかったよねとか共通の話題もあって盛り上がりました。この図鑑いいよねとかこの葉っぱ図鑑の著者いいよねとか、かなりマニアックなところも似ているんです。

話をするうちに普段自分たちとあまり関わりがない人も巻き込んで山や植物の調査とかフィールドワークをしたいと思っていたところ、あわくら会館で村民講師企画があると知り、実際に活動を始めることになりました。山がこんなに近くにあって、自然もいっぱいの西粟倉で、自分たちが山に対して感じている楽しさをみんなにも伝えたい!楽しさを知って欲しい!と思って企画を考え、活動をしています。

村民講師として人に伝えるということで、最初はすごく緊張しましたが、初回の葉っぱから植物を当てるという企画が結構好評で盛り上がって嬉しかったです。私たち自身が楽しみながら運営することも大切にしています。

子どもから大人まで一緒に

清水:今まで14回企画を行ってきましたが、一番印象に残っているのは今年の6月に行った、山の中で正方形の区画を作ってその中に生えている木を調べ尽くすという毎木調査を行う企画です。こちらが何かをレクチャーするというよりも、子どもから大人までみんなで一緒に西粟倉の山を調査できた感じがして、興味がなさそうだった子どもも最後には楽しかったと言ってくれたりしてとても満足度が高い活動になりました。

川上:7月に行った、土の中の生き物をテーマにした企画もとても印象深く覚えています。山から土壌を取ってきて、その中にいる生き物をひたすら探し出すのですが、子どもだけでなく、大人も一緒になってピンセットで必死に虫を探し出している様子が、とても素敵でした。この時は、大学時代の研究室の先生を九州から招いてゲスト講師として一緒に企画に参加してもらいました。

興味を持ってもらう切り口を考えていく

清水:活動を通して、最近は、子どもにより楽しいと体感してもらうにはどうしたらいいかが気になっています。普段は全部「葉っぱ」という括りから、これはこういう形の葉っぱ、これはこういう特性のある葉っぱということを実際に見たり、触ったりして教えてあげるように、知識の解像度上げるには最初は学問的な入口じゃなくてもいいと思うんです。文字で勉強するのが好きな人には論文とか科学的な切り口で伝えられればいいと思うし、興味はあるけど、どう踏み込んでいいかわからないとか、興味を持つきっかけがない人にはまた別のアプローチで伝えていく、それが体感的に触った違いやにおいとか直観的にわかることで、それらを活動に取り入れていけたら楽しくなるだろうなと思っています。様々な伝え方で、また別の角度からイベントをやっていけたら私たちの活動の強みになると思います。

川上:もともと、木がどう生きているとか土壌の生態系はどうなっているかを伝えることに興味があったんです。
でも、森で色の採集をしてみたり、どんぐりを食べてみたり、油を搾ったり、本当にいろいろな事を二人で企画していると、山で無限にやれることがあるなと気づきました。それぞれ企画によって来てくれる方も全然違うし、学生の時に研究で見ていた森とか山とも全然違う、これからも更にできることがありそうって思えるのは活動を続けてきたからかなと思います。山や自然に対して考える幅が広がりました。

一緒に自然を知れる拠点づくり

清水:今後は、どこかに拠点を持って西粟倉の自然や昆虫、動物がそこに行けば見られるような場所を作りたいです。 
一緒に虫を捕まえたり、駆除された動物を解体したり、学校でしないようなことができれば、山が近いという利点を生かして子どもたちに伝えられるのではと思います。積極的に地元の山主さんや自然が好きな方とも関わりたいです。

川上:西粟倉のように山に近い現場で、標本を作れる場所があったり、小中学生が山を調査してまとめたい時にアドバイスできる人がいたり、資料が準備されている場所があるのは夢があることなので、実現化できればと思います。子どもに限らず大人にもまずは興味を持ってもらって、そして楽しいと思ってもらいたいです。私たち自身も山をもっと知りたいですし、色々な方と一緒に調査など、山での活動をしていきたいです。

西粟倉にいるから体感できる「知る」という楽しさを伝えたいと色々な方法を試しながら活動されている清水さんと川上さん。これから先どのような企画が行われるのか楽しみです。

ちぐさ研究室の短編イメージムービーを公開しています。
ちぐさ研究室HP
ちぐさ研究室
私たち「ちぐさ研究室」は、西粟倉村を拠点に植物や森林に親しむ場をつくる研究室です。 あわくら図書館講座「やまと森の知らない世界」の企画運営や、森林ガイド、その他植物に関する情報発信などを行っています。...

広報にしあわくら11月号全文は以下でご覧ください。

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