西粟倉村・最高情報責任者 関治之さんインタビュー

関治之さん(右)と青木村長

西粟倉村が一般財団法人西粟倉むらまるごと研究所(代表大島奈緒子氏:以下「むらまる研」)と共同して進めている村の各種データのオープン化と利活用を目指したオープンデータプラットフォームのプロジェクト推進と情報分野の強化を目的として一般社団法人コード・フォー・ジャパン代表理事の関治之さんが最高情報責任者(CHIEF INFORMATION OFICCER)に就任しました。

開発者としてテクノロジーを活したオープンイノベーションについて研究する中、東日本大震災を機にコミュニティとテクノロジーの力で地域課題を解決することの可能性を感じ、2013年に一般社団法人コード・フォー・ジャパンを設立したという関さん。現在「テクノロジーで地域をより住みやすく」をテーマに様々な活動に携わっておられます。

今回はそんな関さんに西粟倉村との関わりについて色々とお話を伺いました。

●西粟倉村と関わることになった経緯は?

もともと5〜6年前に株式会社ようびの大島奈緒子さんと「コクリ!キャンプ」というリクルートが運営するワークショップでご一緒したのがきっかけです。そのワークショップで大島さんと同じグループになり、西粟倉村の話をいろいろ聞かせてもらいました。以前から西粟倉村の様々な取組みは知っていたので興味をもっていました。

ワークショップで何度かお会いする過程で、大島さんから「むらまるごと研究所」(以下、むらまる研)の立ち上げや村でのデータ活用の構想について教えてもらいました。
私自身今まで様々な自治体のお手伝いをしてきましたが、西粟倉村のような人口が少なく規模が小さい地域、より住民との距離が近い地域でITを活用して何ができるのかチャレンジしてみたいという気持ちになりました。
その後、実際に西粟倉村を訪れたのですが、予想以上に面白い方が多くて、是非一緒に取り組んでみたいと感じました。

●村役場とむらまる研が取り組む「オープンデータプラットフォームプロジェクト」とは?

自治体におけるオープンデータとは、その自治体に関する様々なデータを二次利用が可能な形で公開したものを指します。基本的に行政が持っているデータを公開していく事を指すことが多いのですが、西粟倉村での取組みはさらに民間企業や個人が持っていたり、今後作ったりするデータも含めひとつのプラットフォームに乗せて公開することを目指したいと考えています。
自治体にある避難所の場所や、水利施設に関するデータなどが一般的ですが、それに加えて西粟倉村ならではというデータ、例えば村の森林に関する情報や、村のどこにどんな動物や植物が生息しているのかといった生物多様性に関する情報なども作成・公開したいですね。
また、西粟倉村では再生可能エネルギーに関する取組みを熱心に行っていますので、どのくらいの電力が発電され、利用され、循環されているかといったデータも有益な情報だと思います。

公開するデータが集まると、今度はそれをどのように活用するかという事になります。私が長年お手伝いしている神戸市の事例では、市政に関する様々な課題について同市に関わる企業の皆さんに参加していただき、市のオープンデータを活用して課題解決の方法を検討し、実証実験を行ってきました。西粟倉村でも村内外の企業や研究者を巻き込んで様々な取組みが生まれたら良いと思いますし、そのためのオープンデータ作りを目指したいです。

●むらまる研での関さんの役割とは?

むらまる研ではCIO(最高情報責任者)という立場で参画しています。役場や村全体のIT化、情報化の手伝いをする役割を担います。
まずは役場のペーパーレス化や、リモートワークを導入するためのサポートなど役場業務の改善のお手伝いをすることになります。
また、すでに企業から西粟倉村のデータ活用の提案がきているので、どのように対応するかの交通整理や、様々な利害関係者がいる中でデータプラットフォームがどうあるべきか、どんなデータを公開するべきかなどの検討を行います。

先日村の企業関係者や役場の皆さんにご参加いただき、ワークショップを開催しました。集まった皆さんに自身が考える村の課題を出してもらい、将来目指す理想の村の姿について発表してもらいました。そしてその理想と現状を比較して、そのギャップを埋める方法をみんなで話し合ってもらいました。例えば、昔は子供がひとりで外に出て遊んでいたが、今は親が車に乗せて遊べる場所まで連れて行かないといけないなど、身近な課題も多くでていました。

また、参加者の皆さんの認識として、村の様々な取組み、例えば再生可能エネルギーに関する取組みなど、村は非常に力を入れて取り組んでいるがそれが村民にあまり知られていない、その取組みがどのように村民の生活に関係していくのかが伝わっていないとの意見があがっていました。
まさにそのような課題をオープンデータプラットフォームによって解決していきたいです。

●西粟倉村での仕事について、関さんがチャレンジング(挑戦的)であると感じるところは?

データをオープンにする、そのデータを活用して村の課題を解決するという事をどれだけ魅力的に感じてもらえるかという点だと思います。
データは作るにも手間やコストがかかりますし、公開まで漕ぎ着けても結局うまく活用されないという事も往々にして起こります。
いかに村内外の研究者や企業に興味を持ってもらえるか、使いたい人を見つけてその人が欲しいデータを提供できるかが非常に重要かつチャレンジングだと思います。

●最後に読者へのメッセージを。

私が代表をつとめるコードフォージャパンは、地域の人たちが主体性をもって街づくりを楽しむ、その実現にITをうまく活用する事を目指す活動をしています。
ここ西粟倉村でも色々な人たちが主体的に活動できる環境作りを実現できればと思いますので、よろしくお願いします!

関さん有難うございました!