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目次
特集 夢を叶えること
SDGs未来都市
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社協だより
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特集 夢を叶えること
ケーキ屋さんの始まり
「生まれ育ったこの場所で、この雰囲気が好きだからここで店を出したい。そう思うのは自分にとって、とても自然なことなんです。」と生まれ育った西粟倉でお店を出したことについて想いを話してくださったのは、月3日、猪之部地区にオープンした「にしあわくら小林菓子店」の小林祐太さん。
修行時代に培われたパティシエとしての技術と経験を、この土地にあるものを活かしながら、自分のやりたいことをお菓子に表現していく。その決断にいたった理由や、この場所でお菓子をつくっていくというこれからの想いをお伺いしました。
お客さんの喜ぶ姿
小林祐太さん(以下敬称略):お菓子作りの道へ進むことになったのは、大学1年生の時に近くのケーキ屋でバイトを始めたのがきっかけです。バイトをするなら飲食関係で料理を作れる仕事がいいなと思っていたんです。最初に任された仕事はプリンやシュークリームを作ることでした。コンビニで身近に見るようなものとはクオリティも全然違うし、こうやって作られているんだって素直に感動して、興味をもったことは今でも覚えています。
そこからは大学に通いながら、参考書の代わりにお菓子の本ばかり買い漁っていました。興味はあるけど、知識としては自分にないものだったから全てがすごく新鮮に感じましたね。でも、専門学校に通っていたわけではないので、余計に勉強しないといけないと思って大学を卒業するまで独学でお菓子に向き合いました。
智頭のケーキ屋に就職してからの修行時代は、朝6時に出勤して夜10時、11時まで勤務してという日々が続いて本当に苦しかった時もありました。そんな中でも、目の前でお客さんが自分のつくったお菓子を買っていく姿や、喜んでいる姿を見ることができるのが、お菓子作りっていいなと思える瞬間でした。そうやって自分の作ったものに対する反応を肌身で感じられるからこそ、今でもお客さんに喜んでもらうことを一番に考えてお菓子作りをするというモチベーションに繋がっています。
生まれ育った場所
小林:修行時代から自分を表現できるようなお菓子作りをやりたいとずっと思っていて、そろそろ形にしたいと考えていました。そして、その場所は生まれ育った西粟倉しか思い浮かばなくて。他の地域や都会の街の雑踏の中で自分のお店を出すっていうイメージはどうしても湧かなかったんです。西粟倉で自分の修行してきた知識と技術を活かしてケーキに落とし込むことで自分を表現できたら一番いいなという想いが大前提にありました。
なによりも自分が好きなこの風土で、この場所だからつくれるお菓子をつくれたらって考えています。周りの空間、環境や、ここから見える風景も含めてひとつの表現をしていきたいんです。そのためにお店の中でお菓子を食べていただける空間も年明けから利用いただけるように準備しています。窓から見える季節を感じながら、ケーキを目の前で完成させる演出も楽しんでもらえたらとカウンター席を設けました。
風土にあったお菓子を作る
小林:やっぱりこの土地でお店を開くなら、この土地にあったものを表現したいと考えていく中で、一番の課題だったのが地のものを使うことでした。
そこで、近くで咲いているキンモクセイに注目して、キンモクセイの花を使ったお菓子の試作を始めました。それが自分の中で、今の代表作であり、自分自身が表現したいものとして作りあげることができたと感じています。
今日も柚子を使うために処理をしているところなんですけど、ここで採れたものを目の前にして、これをこうしようかなとかアイディアが出てくるんです。逆に、どうやって使おうと悩むことがあってもそれがおもしろさに繋がると思っています。これが街中の路面店で出来るかというと環境的にもなかなか叶うことではないと思うんです。全ての材料が西粟倉で揃うわけではないですが、ここでしかできないものを作っていきたいという想いは常に頭にあるし、最大限、周りにあるものを使っていきたいと考えています。
変わらずあり続ける
小林:今はお店を大きくしていきたいとかそういうのではなくて、この風景と同じようにあり続けたいと思っています。お店の中身がどんどん濃くなるように、クオリティを高めていって、この土地でお店を守っていきたいです。そして周りの雰囲気や、ここにしかないものを味わって欲しいです。
お店のコンセプトは、「A PIECE OF CAKE(ア ピースオブ ケイク)」という英語の俗語で、「なんてことないよ」という意味が含まれています。直訳すると「一切れのケーキ」なんですが、この俗語と掛け合わせて、一切れのケーキでみんなに、ただただ喜んで欲しい、元気になってほしいという意味を込めています。
自分の故郷に帰ってきて、自分の好きな場所で、自分の好きなものを表現するということが、自然な流れであるように、ここに来ればいつでもお菓子があって、そして足を運んでくれた方が喜んでくれる自然で当たり前な事を大切にしていきたいです。
西粟倉の自然や景色がいつまでも変わらずあるように、小林さんの想いが詰まったお店がその風景の中のひとつとしてあり続けることを願っています。
お店のお菓子作り短編ムービーを公開しています。
広報にしあわくら11月号全文は以下でご覧ください。
電子書籍版はこちら〈okayama ebooks〉PDFデータでご覧になる場合は下記リンクをご覧ください。広報にしあわくら2022
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