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目次
特集 学びはおいしい
村の6大ミッション
あわくら会館
にしあわくらっ子
村からのお知らせ
社協だより
その他
特集 学びはおいしい
ー 学びはおいしい ー
「やってみたい!」最初は子どもたちの好奇心から始まりました。自分たちのやってみたいに挑戦し、現実となった「やってみんCAFE」。総勢7名の小学生・中学生メンバーがどんなカフェにするかゼロから考え、10月23日に第一回目が開催されました。当日は、ジュース、パンケーキ、フルーツポンチと美味しそうなスイーツが提供され会場は大盛況。一般社団法人Nest(ネスト)の伴走により実現したこの企画。やってみんCAFEメンバーとNestスタッフから、カフェを企画した様子や込めた想いについてそれぞれにお聞きしました。
ー カフェをする。じゃあ何から? ー
ひと言にカフェをすると言っても考えること、することはたくさんあります。大人がお膳立てしたわけでなく、主体はあくまでも子どもたち。アイディアも次から次へと出てきます。意見がまとまらなかったり、逆にお店に不可欠な要素が思いつかなかったりします。そんなときに、伴走役として一緒に準備を進めたのは、教育コーディネーターとして活動中の一般社団法人Nestです。どのようなきっかけでこの企画を始めたのか、Nestの今井晴菜さんに教えていただきました。
『今年1月からのあわくらみらいアカデミーで、子どもたちに「やってみたいこと」を聞いたとき、お菓子作りが好きという声が複数挙がりました。そこで、その想いを軸に実際に社会に接しながら学べる場をつくろうと思ったことがきっかけです。友達だけでなく知らない人に食べてもらい、お金をもらうことを通して、子どもたちに自分の好きなことを深く学んでもらえるように、カフェの出店を考えました。スタッフになるときに確認してもらっているように、カフェはごっこ遊びではなく「仕事」です。カフェスタッフに対して、私たちは「子ども」ではなく、なるべく一人の人間として接しています。「子どもだから、これぐらいできればいいよね」というクオリティを言い訳することはせず、大人の社会でもきっちりと通用することを目標に据えています。何をするかどうするかをみんなが選択して、スケジュール通りに進まなければ、じゃどうすればよいかを考えていく。すると子どもたちはどんどん自分たちでできることが増えていき、最初はヒントを与えたり、導いたりもしましたが、だんだんと運営を任せています。私たち社会人が日常行っているように、このカフェの「仕事」を通して、自分たちのやりたいことを行うときには、やらないといけないこともきちんとやりきる必要性を感じてほしいと思います。そして自分が一歩踏み出し段取りを整えることで、実現できることがあることを知ってほしいです。誰かに言われてからやるような受け身の姿勢ではなく、能動的に動くことで得られる楽しさ、喜び、達成感を味わい、学校だけでは学べないことも、体験する機会にしてほしいと思っています。』
ー それぞれの想いをこめて ー
当初9月に開催を予定していたカフェですが、新型コロナウィルス感染症対策による緊急事態宣言の影響で約2ヵ月延期になりました。準備期間が延びた中で、お店をもっとよくする工夫を考えた子どもたちは、エプロンを作ることにしました。お揃いのエプロンを身につけることで統一感を出すことにしたのです。エプロンを準備するときに取材してみると、みんなで和気あいあいと意見を交換しながら作業を分担して進めていました。「以前も一度カフェをしたことがあって楽しかった。来てくれた人が気軽に過ごせるカフェにしたい。」「当日がとても楽しみ。緊張はしないです。お客さんがまた来たいと思えるカフェにしたい。」「おもしろそうなのでカフェをやってみたいと思ったの。村の人だけじゃなくて他の人も来てくれるカフェにしたい。」「村の人が落ち着けるカフェにしたい。」「お客さんがもう一度来てくれるようなカフェにしたい。当日が楽しみです。」取材中それぞれの想いを、わくわく、キラキラした表情で話してくれました。
ー 算数が使えるんだ! ー
子どもたちに準備中、一番大変だったことを聞くと、「値段決め!」との声。商品を販売するにあたり、提供価格も自分たちで計算して決定しました。材料の価格から、どうやったら値段を求めることが出来るかみんなで大苦戦だったようです。作ったとしても全部売れないかもしれない、なら赤字にならないようにはどうしたらいいのか、というところまで考え抜いたメンバーは、「算数ってここでこんなに使えるんだ!」と驚き、テストの点数を取るためだけではない、実際に社会の中での意味を実感したようです。ほかにも、エプロン作りの材料を取り寄せるため、お店に直接電話で問い合わせをしたことを挙げるメンバーもいました。カフェ営業は、初めての体験ばかりです。自分が店員として人と接したことがないと気づき「カフェ当日のために一度練習しておきたい!」など、大人に言われたからではなく、自分たちのやりたいことには何が必要か、どうすれば良いかを自分で考え、行動に移すことが積極的に出来ていました。好きなことをやりながら、やらなければならないことにも意味を見出し、積極的に取り組んでいく、まさに生きた学びがそこにはあります。
ー やってみんCAFEオープン ー
いよいよカフェオープンの日。村民の人達がゆっくり落ち着ける空間を作るために考えてきたカフェ。朝は8時から張り切って用意を開始。一日何を頑張るか目標をそれぞれ決めて、お菓子作りチームと接客チームに分かれて、試作と接客練習の成果が発揮できるかドキドキしながら開店までお客さんを待ちます。10時にオープンしてからお客さんが入り始め、あっという間に会場がいっぱいに。お友達、保護者の方、村内外の方までたくさんの方がやってみんCAFEに来店されていました。
かわいらしいカフェメニューと一生懸命に対応する店員さんに、お客さんも自然と笑顔になります。カフェメンバーの予想をはるかに上回る来店者に、みんな大忙しの様子でした。実際にやってみないとわからないことがたくさん起きる中で、声をかけあい、協力し、お客様にまた来たいと思ってもらえるように精一杯カフェスタッフとしてやりきっていました。閉店後、子どもたちでの反省会では「しっかり接客ができた。」「人数が足りないときに、手伝いにきてくれた。」「お金の計算が大変だった。」など、「やってみよう」の意味が込められた「やってみようCAFE」の名前の由来のとおり、やってみたことで初めてわかるたくさんの学びや気づきが共有されていました。
「西粟倉だからできること」西粟倉の子どもの周りにはそれを経験できるきっかけがたくさんあります。現状ほとんどの子どもたちが中学卒業と同時に村の外へ踏み出していきます。もしかすると、そのとき初めて「村の中での経験って普通じゃなかった!」と思うのかもしれません。学校だけでは学べないことをたくさん吸収して、西粟倉っこたちの、どこかにいつまでも「西粟倉で感じたこと」が残っていたらいいなと思いました。
あわくら会館が内閣総理大臣賞を受賞
木材利用推進中央協議会が主催する令和3年度木材利用優良施設コンクールにおいて、あわくら会館が栄えある内閣総理大臣賞を受賞しました。
建物の出来栄えだけでなく、百年の森林づくりからつながる一連の森林経営、素材生産、木材流通、木製品、家具デザインなど、長期にわたる総合的な取り組みも含め評価されたものです。
あわくら会館の完成には、木材調達、建築、家具製作などの現場だけでなく、ワークショップや委員会・アンケートに参加し、新施設への思いやたくさんの「やってみたい」を届けてくださった村民のみなさん、そして、わたしたちに木を残してくださった方々、本当に多くの方々が関わってくださいました。すべてのみなさまとこの受賞を喜びたいと思います。
あわくら会館は今後、末永くみなさんのくらしや楽しみと共にあります。
まだ利用したことがないかたも見学だけでもいいので是非ご来館ください。
広報にしあわくら11月号全文は以下でご覧ください。
電子書籍版はこちら〈okayama ebooks〉PDFデータでご覧になる場合は下記リンクをご覧ください。広報にしあわくら2021