広報にしあわくら 2021年8月号より

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目次

特集 笑顔を広げる
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特集 笑顔を広げる

写真 チアリーディングチーム「あわくらにこにこキッズHoneys」

ー 笑顔を広げる ー
 西粟倉村のチアリーディンググチーム「あわくらにこにこキッズチアHoneys(ハニーズ)」。キレのあるダンスとアクロバティックな演出、そしてなによりも西粟倉の子ども達の笑顔がきらきら輝いているのが印象的なチームです。ひとめ見れば見ているこちらが元気になり演技に惹き込まれる、そんなハニーズを立ち上げご指導されているのは西粟倉村出身の室山(旧姓 尾久土)いずみさん。毎週末岡山市内のご自宅から西粟倉村に出向いて夕方18時から21時頃まで子ども達にチアリーディングを教えられています。「置かれた場所で咲きなさい」をモットーとされているいずみ先生からハニーズ立ち上げのきっかけや、村の子ども達への想いを聞かせていただきました。

ー チアリーディングで村を元気に ー

 現在小学校1年から中学校3年生までの31名がハニーズに所属しています。チームの立ち上げは10年前。5人の生徒さんからスタートでした。

 チーム立ち上げのきっかけを教えてください

室山先生(以下 室山)  チアリーディング自体が人を応援する、勇気づける、元気づけるがメインのスポーツなので、村内の方特に高齢者の方に見てもらって元気になってもらえたらいいなということが最初の目的でした。元々のきっかけは「チアリーディングを子どもにさせたい」という保護者の方が、私が経験者だということをどこからか聞いてこられて連絡をいただいたというのが始まりです。一般企業でも仕事をしていたので、まさかの展開というか自分でも意外な方向に進みました。チアリーディングは大学時代に部活動でしていて、4年間続けていましたが、卒業後はチアリーディングから離れていました。
チームを創ることについて最初は悩みました。やっぱり一つのチームを創りあげることとか、チアリーディング競技自体に組み体操とかアクロバットなことが入ってくるので、それをしていくにあたって、実際にできるのかなという不安もありました。それでもかなり熱烈にお誘いいただいて、できることから始めて、みなさんに明るく元気になっていただけたらなというのがほんとうの最初のきっかけです。

 いずみ先生自身もチアをされていたんですよね?

室山  当時大学に部活としてチアリーディングはありませんでした。同期の子のお姉さんが岡山大学でチアリーディングをされていたので、そこへ一緒に通わせてもらっていました。でもそれだと自分達だけで大会には出場できない、だったら自分の大学でチームを立ち上げようというところで、部活立ち上げのメンバーに入って、本当にゼロから自分達でチアリーディング部を創りました。

 今のチームの特徴を教えてください。

室山  内に秘めた子が多いですね。卒業した子がぐいぐいひっぱっていく自分から前に出て行けるタイプの子が多かったので、今の中学3年生はおとなしめの子が多いからどんなカラーになるのかなって思っていました。結構しっかり考えていて、「こうしたい」「大会に向けて自主練習を全員で出来るようにしたいんですけど、どうしたらいいですか?」とかしっかりまじめに考えて、みんなで頑張ろうとしています。人だから、合う合わないはあると思うけど、同じ目標に向かっていく仲間であるから良いところはたくさん見て、それぞれの良いところでチームを伸ばしていこうという話はしています。

 ー 自分をさらけ出す難しさ ー

チアリーディングは元々アメリカンフットボールの大会にある合間での応援が発祥となったスポーツで、技の難易度、シンクロ性、音楽に合わせてみんなで声をだすことなどを採点基準として競い合います。その中でも独時の採点基準であるのが「笑顔」です。ハニーズは主に年に一度行われる大きな大会、中四国大会に向けて練習をされます。他にもバレーボールVリーグ等のプロスポーツ大会での応援や、西粟倉の温泉まつり、ふれあいまつりには決まって出演されています。大会に向かって練習中、いずみ先生が何度も子ども達に「チアリーディングで一番大事なことは笑顔!」と指導されている姿が印象的でした。

子ども達に指導する中で、難しことは何ですか?

室山  体幹を伝えるのが難しいです。もちろん技を教えるのも難しいですけど、やっぱり一番難しいのは「笑顔」です。笑顔で演技する、ハツラツとした声をだすっていうのは意外と大人ってすぐできるのですが、子ども達はなかなか。自分もそうですけどこの西粟倉村で育って、やっぱり良い意味で西粟倉の子達って一歩引くといいますか、自分から前に前にというタイプの子は少ないです。意外と家では楽しく練習できていても、いざ練習に来ると恥ずかしくてできないことや、逆にお祭りの本番になると意外とさらけだせる子もいます。自分をさらけ出すというか思い切って表情を笑顔にするのは子どもって意外と恥ずかしさが入ってくるので、結構一番難しいところかなと思います。でもそれがチアリーディングの良さでもあるので、そこを引き出してあげたいなと今すごく思っています。

指導されていて良かったなと思うことはありますか? 

室山  たくさんあります。その中でも本番で演技が成功した後のこども達の喜びを見られることですね。特に大会で演技が成功して、バックヤードに帰ってきたときの子ども達の喜びようってすごくって、あの姿は忘れられないです。あと卒業生が今6名いるんですけど、卒業後もチアリーディングに関わりたいと言って半分くらいの子が現役でチアリーディングをしてくれていて、そういうふうに続けたいって言ってくれることが嬉しいです。

ー 育ててもらった 故郷に恩返しを ー
いずみ先生も西粟倉が故郷ですし、子ども達を育ててる感覚ですよね。

室山  私もお茶の先生、習字の先生、絵画の先生にお世話になり、スポ少もやっていて、そういった地域の方に育てていただいた感覚なので、その先生方の一員に加わったという感じです。そのころから西粟倉に習い事って結構あったので、そうやって地域のみなさんに育ててもらって、その恩返しじゃないけど自分もそうしてもらったので、西粟倉で育って良かったと思ってもらえる一つのきっかけになれたらと思ってチアを指導しています。

これからの目標を教えてください。

室山  コロナ過で先が見えないところで、演技の動きも、今回の大会に向けてなかなか練習が出来なくてストップした状態だったので、本当に思いきり本来のチアリーディングが出来る日が早く来てほしいなと思います。そこに向かってみんなでエンジン全開でやっていきたいです。たくさんの子ども達にチアリーディングを楽しんでほしいですね。この村だから一度は外へ出る日が来るんじゃないですか。村の外に出たときに、チアをしていて良かった、この村で育って良かったと思ってもらえて、外の良いところたくさん知った中で、またこの西粟倉村に帰ってきて卒業した子達が一緒に指導してくれる日がきたらいいなと思います。

写真 Honeys(ハニーズ) 室山いずみ 先生

ー 笑顔と元気の連鎖を ー

 7月には年に1度行われる中国・四国大会に出場しました。大きな会場で、1分30秒という短い時間の中、めいっぱい身体を大きく使い迫力あるダンスと、遠くからでも分かるほどの眩しい笑顔で演技されているハニーズの子ども達の姿が輝いていました。その姿はいずみ先生が大切に伝えられている、誰かを笑顔にする、元気にするためのチアリーディングそのものでした。自分ではない、誰かを元気にする、笑顔にすることはとても難しいことだと思います。しかしながら、いずみ先生の想いが、西粟倉の子ども達から広がって村民みなさんが元気になる、そんな笑顔と元気の連鎖が続いていけばいいかなと思いました。

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